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思春期・若年女性の健康|愛クリニック 妙高市美守の産科,婦人科,小児科
どうする 思春期の月経不順
中学生・高校生くらいのいわゆる思春期と呼ばれる年代の女の子たちの中には、月経が順調にきていない方も多いと思います。
少し気になりながらも、妊娠・出産はまだまだ先の話だし、月経不順でも気にしなくていいのかな、などと思っていませんか?
思春期は子供から大人への通り道。
このころの女性ホルモンの働きが、将来の妊娠出産のためだけでなく、骨や血管の状態や、脂質や糖の代謝など、子供を産む産まないにかかわらず自分自身の一生の健康にもかかわってきます。
中学生・高校生の女の子たちと、そのおかあさん方に向けてお話ししましょう。
<お母さまへ>
思春期の月経不順は、いつまで様子をみたら良いのでしょうか?
検診など、自分の診察で来院されたお母さんによくきかれる質問のひとつに、「娘が月経不順なんですが受診した方が良いですか?」というものがあります。
初めて月経があってしばらくは月経不順があってもあまり心配ありません。初経より数年は二人にひとりは月経不順があるとも言われています。思春期始まりのころは、まだ卵巣の機能が未熟なので、ちょっとした体調不良や、ストレスなどでも月経は不順になります。
<ご本人、お母さまへ>
受診のタイミングは、まず、本人が、出血が続いたり月に何回も月経が来たりして「嫌だなうっとうしいな」と思っているとき、月経の間隔があいて不安になっているときなどです。
若い女の子が月経の事で悩むのは、学校生活にも大きな影響がありますし、良くありません。ぜひ受診して(させてあげて)ください。
高校を卒業すると、進学や就職で環境が変わってしまいます。その影響で、月経不順が悪化することも多いものです。
親元を離れてしまうと気になっていてもなかなかひとりで婦人科への受診はしにくいかと思います。
本人は全然気にしていない(ようにみえる)けれど、受診した方が良いのは・・・
『3カ月以上月経が来ない。』また、『月経不順になった頃から体調不良があったり、急に体重が増えたり減ったりした』、『15歳過ぎても一度も月経が来ない。』
などのときです。
<ご本人へ>
どうしたらいいかなぁと思っているかたは、先ほど書いたようでなくても、一度婦人科への受診をしてみてくださいね。月経不順は、問診や、ホルモンの血液検査や、お腹の上から超音波検査をすることで診察します。「内診」は嫌だなぁ、と思っている方もいることでしょう。婦人科を受診すると内診が必ずあるのではないかと心配しなくても良いですよ!
婦人科デビューは中学生・高校生でも早すぎません!
(2017.11.19 院長ブログ 気分はコンペートーより転載)
乙女ごごろとダイエットと女性ホルモンと骨の関係
スリムとふっくら
華奢と頑丈
どっちがいいかと訊かれたら、思春期女子なら、迷わず答えるんでしょうね
「スリムで華奢な方が絶対いい!」
最近では、スタイルを気にして、小学生や中学生からダイエットする子もいるようです。
でも、健康美を目指すなら、10代のダイエットは限りなくアウトに近い要注意!!!です。
学校健診で不健康なやせと判断される割合は中学生で5.5%、高校生で13.2%にもなるそうです。
無理なダイエットが「なぜいけないか」というと、栄養不足で元気がなくなる、免疫力が落ちて風邪をひきやすくなるなど、今現在の健康を維持できないことも心配なのですが、もっと長い目で見て、一生涯にわたってきれいと元気が維持できなくなる!!!
そんな心配があるのです。
月経不順を訴える中学生、高校生の半数はダイエットが原因だそうです。
5キロ以上、あるいは現在の体重の10%以上体重が減少すると、たいていは月経が不順になります。
月経周期があるということは、妊娠する準備ができているよということなのですが、体重が極端に減少すると、妊娠して次の世代に命をつなぐことよりも自分の命を維持することが大事になるので、卵巣の機能が悪くなってしまうのです。
そして、月経が来ていないは、女性ホルモンが足りない状態です。
女性ホルモンは、実は、骨を作るのにも必要です。
初めての月経から数年の間に女性ホルモンの力を借りて、女性は骨をしっかり成長させていきます。
この時期に女性ホルモンが足りないと、スカスカ骨の20歳になってしまいます。
実は骨密度のピークは20歳ころで、みんなその後徐々に骨密度は下がっていくので、10代で骨がしっかり作られないともう、取り戻すことができないのですよ!
まだまだ妊娠する予定はないから、中学生高校生の間は月経不順でもいいやという考えは、一生の後悔につながる可能性が大きいのです!
確かに、妊娠する力は、20歳過ぎてからの治療でもある程度取り戻すことができますが、ピークボーンマス(Peak Bone Mass)=最大骨量は20歳で決定してしまいます。
いつまでも、きれいで元気でいるために、無理なダイエットはやめましょう。
それから、月経不順がある時は、ダイエットが原因でもそうでなくても、一度専門家に相談してください。大人になってからでは遅いこともあるんですよ!
(2018.1.24 院長ブログより転載)
世界の常識、輝く女性の健康管理
もうすぐ冬季オリンピックが始まります。2月9日が開会式ですね。
とっても、楽しみで、ワクワクしています。
今回は、92カ国約3,000人の選手が出場の予定だそうです。
自分の試合日程に合わせて、選手の皆さんは最後の調整中でしょうか。
私はこたつにはいってぬくぬくテレビ観戦するだけですが、しっかり応援するために風邪などひかぬよう私も!体調は万全に整えたいと思っています(笑)。
さて。3,000人のオリンピック選手の約半数は女性です。
そして、ほとんどが10代後半から20代の若い方たちです。
競技の練習はもちろんなのですけれど、体調管理として、月経はどうしているのかなぁ、と、婦人科の担当医としては、ちょっと気になるところでした。
そう思っていたところ、去年暮れ2017年12月に「WOMAN EXPO TOKYO2017 Winter」という働く女性向けのイベントで、元サッカー選手、なでしこジャパンの澤穂希さんが現役中はずっとピルを飲んで体調管理されていたことをお話しされて、ちょっと話題になりました。
現役中は、ピルを飲むことによって、月経を軽くし、また月経の日も調整し体調管理をしていたそうです。また、現役引退後は、ピルをのむことをやめて、なんと1回目の排卵で妊娠、無事出産されたそうです。
実は、ピルをずっと飲んでいた方が、ピル内服を中断すると、しばらくは妊娠しやすい状態が続くというのが判っています。
澤さんが出産されたのが昨年1月ということなので、お子さまはちょうど1歳になったところですね。
女性は月経周期によって体調が変化します。アスリートの中にもその体調の変化で成績が変わってくる方がいるという話も聞きます。
いつも、月経中に自己記録を更新するという選手もたまにいるようですが、たいていは、月経前や月経中はパフォーマンスが落ちるようです。
欧米の選手ではピルを飲んで月経を調整するのは当たり前になってきているようで、およそ90%の選手がピルを内服しているそうです。わが国日本では、「ホルモン剤=怖い」のイメージがいまだに根強く続いているようで、日本臨床スポーツ医学会のアンケートではトップアスリートでも5%くらいしかピルの服用経験がなかったそうです。
日本では誤解されがちなピルですが、月経の時期をコントロールすることもできるし、月経痛を軽くし月経量を減らすこともできるし、ドーピングに引っかかることもないし、将来の子宮内膜症などになるリスクも軽減できる可能性もあるし、ニキビが減って肌もキレイになるというメリットもあるので、日本の女子アスリートは、もっとピルを活用したらいいんじゃないかと婦人科の担当医としては強く思います。
ピルはもともとは避妊薬として開発されましたが、今は生活改善薬として、女性の生活の質を向上するために使われています。
保険適用内のお薬もあります。
オリンピックに出るようなトップアスリートも、中学や高校の部活でスポーツに頑張っている選手も、スポーツ以外での活動で頑張っている女の子たちも、月経の時はいつも通りパフォーマンスが出ないな、と感じている方は、一度婦人科の担当医に相談してみてくださいね。
(2018.2.1 院長ブログより転載)
新生活に向けてのワクチン評価チェックのススメ
麻疹、風疹、水痘、おたふくかぜなど、ワクチンで防げる病気を、VPD(Vaccine Preventable Disease)といいます。
子供のころに予防接種をした方でも、時間の経過で抗体価が下がっていたり、何らかの理由で予防接種をうけていなかったりで、抗体の値が低く病気にかかりやすい方が、案外、大勢います。
大人になってからの感染は、重症化しやすく、また、妊娠中の罹患では、胎内で赤ちゃんに病気をうつして赤ちゃんに障害が出てしまうおそれもあります。
これから、親元を離れて、進学・就職する機会や、これから、結婚、出産の予定のある方は、ぜひ、抗体価を調べ、感染しやすい状態ならば予防接種を受けましょう。
予防できる病気はしっかり予防しましょう。
大人になって成人を迎えてからでも予防接種は有効です!
麻疹ウイルス、風疹ウイルス、おたふくかぜウイルス、水痘帯状疱疹ウイルスの4種のIgG抗体価 7,600円(税込)
いずれか、1~3種類の検査もできます。
風疹抗体検査は、条件によっては市の助成が出る場合もあります。詳しくはご相談ください。
参考文献
・日本産婦人科医会 産婦人科医による女性アスリートへの対応 安達知子 2014・5・14
・骨粗鬆症ガイドライン2015年版 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会