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ナイスミディの健康|愛クリニック 妙高市美守の産科,婦人科,小児科
ナイスミディの健康
~更年期障害編~
更年期とは
更年期とは、閉経の前後5年間くらいをいいます。閉経の年齢が45~55歳くらいと幅がありますので、いわゆる更年期の時期も人によって違います。少し長めにみて、40歳から60歳くらいでしょうか。
ナイスミディの世代です。
女性ホルモンが急速に低下することによって、身体や心に急激な変化が起こります。
女性の体は女性ホルモンで守られているので、女性ホルモンの値が下がってくるといろいろな不都合が出てくることが多いのです。
皮膚の弾性繊維の減少、骨粗しょう症、動脈硬化、糖尿病、高脂血症などになりやすくなります。
また、自律神経のバランスもくずれやすくなり、ほてり、急激な発汗、動悸、息切れ、手足の冷え、肩こり、頭痛、ふわふわしためまいなども起こりやすくなります。
子供の進学や結婚など環境が大きく変わる時期とも重なるので、イライラや、気分の落ち込みなどの精神症状もでやすくなります。
症状や程度は、人それぞれですが、日常生活に支障が出るほど具合の悪くなる方もいます。また、自覚症状はそんなに強くなくても、高脂血症や、糖尿病、動脈硬化などが、急激に進んでしまう方もいらっしゃいます。
厚生労働省のデータによると女性の平均寿命は2018年時点で87歳です。ここ30年で約10年平均寿命は延びました。今50歳の方が80歳になる30年後にはさらに寿命が10年延びると考えると、平均寿命は100歳に届くかもしれません。
そう考えると、今更年期を迎えている方は、まだ、人生は真ん中くらいまでしかきていないのです。
女性にとってホルモン状態が、ダイナミックに変化する閉経前後をいかに快適に元気に過ごすか、何に気を付けて今後を過ごしていくかが、これからの人生の質を左右する要素として重要になってきます。
更年期障害は症状がさまざまなので、体調の不具合を、なんでもかんでも「更年期のせい」にしたり、また、家族からなまけている、甘えていると思われたりしがちですが、きれいで元気に年を重ねられるように、人生の節目となる更年期の身体の状態を、診察や検査で、医学的に客観的に診断し、予防や治療に役立てていきましょう。
更年期障害の診察の流れ
問診
まずは、どんなふうに具合が悪いか、何に困っているかなどお聞きします。
月経の状態、自覚症状、日常生活への影響の程度などもお聞きします。
内診・超音波検査
卵巣・子宮内膜の状態などを診察します。
必要があれば、子宮がん検診、乳がん検診も行います
血液検査
女性の身体の周期に関わるホルモンの状態、貧血の有無や、高脂血症、糖尿病の有無などを調べます。
更年期障害の治療
生活の改善
ちょっとした体調管理のための生活上の工夫、食事療法などでも症状の改善がみられることもあります。
ホルモン補充療法(HRT)
ホルモン補充療法(HRT)とは更年期症状や更年期障害の治療のために、閉経前後に体内で不足してきた女性ホルモン(エストロゲン)を、飲み薬や貼り薬として補充する療法です。
ホルモン薬を使うと、太るのではないか、がんになりやすくなるのではないかと心配される方が時々いらっしゃいます。実は、婦人科医以外の医師の中にも、いまだに、ホルモン治療に否定的な方もいます。
個人にあった、治療法を選択すれば、副作用はあまり心配しなくていいのです。
更年期のころからHRTを始めた場合、高齢になって始めるよりも血管に対する副作用が軽減されるので、長くHRTを続けることができます。
HRTを長く続けることで、骨粗しょう症、動脈硬化、高脂血症、糖尿病などを予防することができます。
詳しくは医師にご相談ください。
漢方薬
更年期障害には漢方薬による治療が、とてもよく効く場合があります。漢方薬による体質改善を目指した治療法です。
さまざまな症状があったり、日によって症状が変化したり、検査では原因がはっきりしない場合などは、漢方薬を使用し、体質を改善することでよくなる場合が多いのです。
また、先ほど説明したホルモン補充療法(HRT)をできない、あるいはしたくない場合にも、漢方薬で自覚症状を軽くすることもできます。
更年期障害は通り過ぎるのを、我慢すればいいというものではありません。
しっかり治療して、楽しく生き生きと過ごしましょう。
きれいで元気な100歳目指して!
ナイスミディの健康
~骨粗しょう症編~
骨粗しょう症とナイスミディ
「骨粗しょう症」:最近は、テレビの健康番組や、雑誌の健康特集でもよく見かけるので、言葉は誰もが聞いたことがあるでしょう。
「骨がもろくなって、スカスカになる病気だよねぇ。」くらいは皆さま知っているかと思います。英語ではオステオポローシスと言います。「オステオ」が「骨の」という意味なので、骨がポロポロする病気でもあります(ほんと?)。
骨がスカスカもポロポロもいやだなぁと思うのですが、スカスカでもポロポロでも、最初はほとんど自覚症状がありません。
ある日、転んだら骨が折れて、動けなくなって寝たきりになってしまうかもしれない、という怖い病気です。日本人女性が寝たきりになる原因のナント第3位だそうです。
50歳以上の女性の3人に一人が骨粗しょう症、あるいはその予備軍だそうです。
転んで骨が折れちゃうなんて、相当に歳をとってからでしょう?歳をとったら、あまり、無茶をせずに静かに過ごして転ばないようすればいいのでは?と思ったら、それもちょっと違うのです。
骨がもろくなっていると、ちょっと手をついただけで手首の骨が折れたり、普段の生活だけで背骨がすり減っていって腰が曲がってきたり、足の骨が疲労骨折で痛くて歩けなくなったりと、寝たきりにならないまでも少しずつ症状が出てきて、そういう症状が出ると、運動もせず、お出掛けもせず閉じこもりがちになり、さらに骨粗しょう症がすすんでしまうという悪循環に陥ってしまうのです。
特に女性は、エストロゲンという女性ホルンモンが骨を守るのに大活躍しているので、閉経すると急激に骨はもろくなります。閉経して何も対策をとらないと、閉経後2年で5%も骨密度は下がるそうです。
将来骨粗しょう症になり、骨折して文字通り痛い目に遭わないためには、今、40歳代、50歳代に正しく対処することがとてもとても大事なのです!
骨粗しょう症の予防
将来、骨粗しょう症で、骨折などということは避けたいですね。
いつまでも、美しく元気でいるためには、今、元気なうちにしっかり手を打つこと予防することが何より大事です。
骨粗しょう症の予防には
- カルシウムやビタミンDをたっぷり含んだバランスの良い食事をとるようにすること。
- 適度な運動すること
- お日さまにあたること
です。
また、骨の丈夫さは遺伝も関係しているといわれています。自分では、じゅうぶんに気を付けて生活しているつもりでも、知らず知らずのうちに、骨密度が下がっている場合もあります。
一度、骨密度を測定して、自分の骨の状態を知っておくとよいでしょう。
特に、閉経前後の方は、ほんの1~2年で急激に骨密度が下がっている場合があります。
数年前には問題なかったからといって安心していられないのです。
市の検診や人間ドックなどでも、骨密度測定のオプションがあると思います。意欲的に利用するとよいですね。
当院、愛クリニックでも、検診でよく使われている超音波による骨密度測定(QUS)を行っています。
(数分で測定でき、被曝(被ばく)の心配もないので、妊婦さまも検査できます。)
お気軽にお声がけください。
骨粗しょう症の治療
骨密度の測定や腰痛、日常生活での骨折の既往などから骨粗しょう症と診断された場合には、お薬による治療が必要になってきます。
50歳前後の方の骨粗しょう症治療のお薬には、大きく分けて
- 女性ホルモン
- SERM
(選択的エストロゲン受容体作動薬) - ビタミンD
- ビスホスホネート
の4種類があります。
1.女性ホルモン
閉経前後の方は女性ホルモンを利用して、更年期の症状も緩和しながら、骨を守ることもできます。女性ホルモンを更年期の時期1年使うことで手や足の骨折リスクを27%下げることができるそうです。
5年を超える長期の使用で子宮体がん・乳がんなどのリスクが上がるという報告もあり、5年以上使用を続ける場合には、注意が必要です。
2.SERM(選択的エストロゲン受容体作動薬)
女性ホルモンの受容体に結合し、骨に対しては女性ホルモンと同じ作用を発揮するお薬です。
骨以外の臓器には逆に女性ホルモンと逆の作用を起こす場合もあります。
大きな副作用があまりないと言われているお薬ですが、更年期症状と似たほてりやホットフラッシュなどの症状が副作用としてあらわれることがあるので、更年期障害の強い方には使えません。
骨密度をあげるだけでなく骨の質もよくするといわれています。
3.ビタミンD
ビタミンDは、腸管からのカルシウムの吸収を助けることによって骨量を増加させます。
大きな副作用もなく使用しやすいお薬です。
血中のカルシウムが上昇するため腎機能が悪い方や高齢の方が服用するときには注意が必要です。
4.ビスフォスネート
骨量増加の作用があるので、骨折治療後などに使われますが、骨組織に長く残るお薬ですので長期間服用し続けることはできません。
治療が必要になった場合は、医師とよく相談して、自分に適したお薬を選びましょう。
骨量が減っているけれども、骨折がない状態では、あまり自覚症状がないので、一度お薬をのみはじめても、ついつい中断してしまいがちですが、20年後、30年後に「骨を折って」「骨を折らない」ために、生活習慣改善もお薬の服用も頑張って続けましょう。
参考文献
骨粗鬆症ガイドライン2015年版 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会